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ハウスメーカーと設計事務所、若手で選ぶならどっち?転職エージェントが本音で答える

建築学生・若手建築技術者から最も多く聞かれる「ハウスメーカーか設計事務所か」の問い。待遇・用途の広さ・将来の選択肢で答えは変わります。両業界の中途市場を見てきた建築技術者専門の転職エージェントが、判断軸を整理して本音で解説します。

株式会社Wheels Up高品質記事

ハウスメーカーと設計事務所、若手で選ぶならどっち?転職エージェントが本音で答える

「就職するならハウスメーカーか、設計事務所か。どっちがおすすめですか」

建築学生や若手の方から、最もよく聞かれる質問の一つです。

結論を先にお伝えします。
決め手は1つ。「将来、自分が何をしたいか」です。

待遇か、用途の広さか、将来の選択肢か。何を大事にするかで、答えは変わります。

エージェントとして両方の業界を見てきた立場から、判断軸を整理してお伝えします。


待遇・福利厚生は、傾向としてハウスメーカーが有利

トップ企業同士なら、差異は小さい

まずお伝えしておきたいのは、トップ企業同士で比較した場合、待遇面の差はそれほど大きくないということです。大手の組織設計事務所も、給与水準・福利厚生は十分に整っています。

「ハウスメーカー=高待遇/設計事務所=低待遇」という単純な対比は、業界トップ層の話ではほぼ当てはまりません。

全体的なバランスでは、ハウスメーカーが有利な傾向

ただし、業界全体の傾向で見ると、ハウスメーカーのほうが整っているケースのほうが多くなります。

ハウスメーカーは社員数が多く、給与水準、賞与、福利厚生、住宅手当、退職金制度などが体系的に整備されている企業の比率が高い。

設計事務所、特に中小規模の事務所では、これらの整備度がハウスメーカーに比べると弱い傾向にあります。トップ企業同士の比較ではなく、平均的な選択肢で考えたときに、待遇面でハウスメーカー寄りに見えるのは、この企業ごとの整備度の差によるものです。

「ワークライフバランス」は単純比較できない

待遇では有利なハウスメーカーですが、ワークライフバランスについては単純比較ができません。

ハウスメーカーは、お客さま(施主)の都合に合わせた仕事になるため、土日に動くケースが多くなります。逆に、設計事務所でも、官公庁案件を扱っているところは、役所のカレンダーに合わせて土日休めるという構造があります。

「設計事務所=忙しい」「ハウスメーカー=楽」というイメージは、案件構成によって逆転することがあります。表面的なイメージで判断しないほうが正確です。


将来「大きい建築」「街づくり」に行きたいなら、設計事務所

ハウスメーカーから「大きい建築」への転職は、構造的に難しくなる

ここが、若手のキャリア選択で最も重要なポイントです。

ハウスメーカーで5〜10年経験を積んだ後、「大きい建築をやりたい」「商業施設や公共建築の設計に関わりたい」と思ったとき、その転職は構造的に難しくなります。

理由は単純です。建築設計の世界では、「住宅設計」と「非住宅設計」は別の経験軸として扱われるからです。ハウスメーカーで積んだ住宅設計の経験は、商業施設や公共建築の設計現場では、評価のされ方が変わります。

デベロッパーや事業会社への転職も、同じ構造

ハウスメーカーから、デベロッパーや事業会社への転職も、同じ構造が働きます。

事業会社内で自社の工場やオフィスビルなどの建設プロジェクトに関わるポジションや、デベロッパーの開発職などを目指す場合、ハウスメーカーで住宅領域に長く関わってきた経験は、評価のされ方が変わります。住宅という領域から、非住宅・大規模建築の領域に踏み込むハードルが、想像以上に高いです。

ただし近年は、ハウスメーカーで非住宅・大規模建築の経験を積む選択肢も出てきた

ここでひとつ補足しておきたい話があります。

近年、大手ハウスメーカーを中心に、賃貸住宅や非住宅分野への用途拡大が進んでいます。賃貸マンション、事業用建築、商業施設、医療・福祉施設などをハウスメーカーが手がけるケースが増えてきており、その結果、ハウスメーカー内でも非住宅や大規模建築の経験を積めるポジションが出てきています。

「ハウスメーカー=戸建て住宅専門」という従来のイメージは、現実とずれ始めています。会社選びの段階で、どの会社が非住宅にも踏み込んでいるかを見ておくと、後のキャリアの幅が変わります。

「広い選択肢を残す」という観点

それでも、業界全体の傾向として、設計事務所からハウスメーカーへの転職は相対的に動きやすく、逆方向(ハウスメーカーから設計事務所、デベ)は年数が経つほど狭くなる、という構造は残っています。

将来の選択肢を広く残したいなら、設計事務所のほうが優位──ただし、ハウスメーカーでも会社の特性を見極めれば幅は広がる、というのが現実的な見立てです。


将来「住宅をずっとやりたい」なら、ハウスメーカー一択

住宅領域に集中したいなら、最初からHM

逆に、「自分は住宅を一生かけて極めたい」「エンドユーザーである施主と直接向き合う仕事がしたい」と決まっているなら、迷う必要はありません。

最初からハウスメーカーを選んで、深い専門性を積み重ねていく。これが最短かつ最適なルートです。

設計事務所で住宅をやることもできますが、規模・体系・キャリアパスとして、ハウスメーカーが持っているリソースとは違います。

エンドユーザーに近い仕事の価値

ハウスメーカーは、施主との距離が近い仕事です。「自分が設計に関わった家に、家族が住み始める」という直接的な手応えを得たい人にとって、これは何にも代え難い価値になります。


判断軸:自分の人生で何を大事にするか

待遇か、用途の広さか、将来の選択肢か

ここまで整理してきた論点を、判断軸として並べるとこうなります。

重視するもの 推奨
待遇・福利厚生の整備度 ハウスメーカー
用途の広さ(住宅以外もやれる) 設計事務所
将来の選択肢(後で進路を変えやすい) 設計事務所
住宅に集中したい ハウスメーカー

「どれが正解か」ではなく、「自分が何を大事にしたいか」が決まれば、答えは自然に出てきます。

「最初の会社にゴールを置くか」の問い

ここで、もう一つ大事な問いがあります。
「新卒の最初の会社で、ゴール(人生のターニングポイント)を置くかどうか」です。

新卒の段階でゴールを決めてしまわず、いったんは選択肢を広げる場所に行く。
そのうえで、経験を積みながら自分の本当に行きたい方向を見つけていく。

このスタンスを取るなら、設計事務所のほうが向いています。


迷うなら、いったん大きいものを

実際に、新卒・若手の方が「将来をきっちり決められない」「住宅もいいけど街づくりも気になる」と迷うケースは多いです。

そのような場合のおすすめは、最初は「大きい建築をやれる場所」を経験することです。

大きい建築の経験から、住宅に行くのは比較的容易です。
逆方向は、構造的に難しい。

選択肢を狭めないために、最初の数年は「広い側」で経験を積む。そこから自分の方向性を見つけていく。これが、迷ったときの一つの定石です。


踏み出す前に

ハウスメーカーか設計事務所か。
この問いに、唯一の正解はありません。あるのは「自分にとっての正解」だけです。

選択の前に、整理しておきたいことが3つあります。

  1. 自分が将来やりたいことを言語化する ── 住宅か、大きい建築か、街づくりか
  2. 何を大事にするかの優先順位を決める ── 待遇、用途の広さ、将来の選択肢、どれを上に置くか
  3. 市場の感触を、専門エージェントで確認する ── ハウスメーカーと設計事務所、それぞれの中途市場の動きは、自分の判断材料になります

ガウディキャリアでは、建築技術者の転職支援を専門にしています。
新卒・若手の段階で「最初の会社をどう選ぶか」迷っている方には、ご自身の希望と市場の実態をすり合わせるサポートをしています。

迷いを「選択軸」に変えるところから、はじめましょう。


📻 本記事のテーマは、ガウディキャリアRADIO #1 でもキャリアコンサルタント2名が本音で答えています
 タイムスタンプ 19:05 から該当パートです。

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ガウディキャリア INSIGHT 編集部

監修:ガウディキャリア(株式会社Wheelsup運営、有料職業紹介事業 14-ユ-301559)

施工管理経験があるキャリアコンサルタントなど、現場を知る専門家と連携し、独自の取材と分析に基づいたコンテンツを発信しています。


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