施工管理を辞めたいあなたへ|辞める前に知ってほしい、働き方が安定する会社の見分け方
「施工管理を辞めたい」。そう思いながら、この記事にたどり着いた方も多いと思います。
その気持ちは、否定しません。ただ、辞めると決める前に、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。いまのしんどさは、施工管理という仕事そのものではなく、いまいる会社のしくみから来ているのかもしれない、ということです。
もしそうなら、施工管理を辞めなくても、会社を変えるだけで働き方は大きく変わります。経験を活かせるぶん、年収も保ちやすい。
問題は、どの会社ならそれが叶うのかを、求人票からは見抜けないことです。「年間休日120日以上」「残業月20時間」といった数字を、現場を知る人ほどそのままは信じません。いくらでも書きようがあるからです。
では、何で見分けるのか。私たちは建築技術者専門の転職エージェントとして、数多くの会社と、そこで働く人の転職を見てきました。その経験から言える、求人票よりずっと当てになる見分け方があります。働き方が安定するかどうかは、突き詰めると2つの軸で決まる、というものです。ひとつは、工事を自分たちでどれだけ決められるか。もうひとつは、そもそもトラブルの起きにくい工事か。この2つがそろっているほど、現場は荒れず、働き方が安定します。
この記事では、私たちが実際に会社を見るときに使っているこの2つの軸を、そのままシェアします。あわせて、条件を満たす具体的な会社のタイプも紹介します。一般論ではなく、現場と転職市場の両方を見てきた立場からの、実務の見方です。
なぜ、この2つで決まるのか
働き方が荒れるか安定するかは、次の2つの組み合わせで決まります。どちらか一方ではなく、両方を見ます。
軸1:工事を自分たちで決められるか
受注して、施主が決めた工期や仕様に従う立場だと、条件が厳しくても、そこに合わせて動くしかありません。ゼネコンが典型で、残業や休日出勤の波は、本人の段取りよりも、この「相手の条件に従う」立場から生まれています。
逆に、自社が事業主(発注者)として建てる、自社で施工まで持っている、親会社から安定して仕事が来る会社は、工期も仕様も自分たちで決められる範囲が広い。外部に振り回されにくい立場です。
軸2:そもそもトラブルの起きにくい工事か
同じ「自分たちで決められる」立場でも、扱う建物しだいで現場の荒れやすさは変わります。
大型で一点ものの建物ほど、想定外のトラブルが起きやすくなります。逆に、規格化された建物や小規模な工事は、段取りが読めて、トラブルそのものが少ない。施工のハードルが低いぶん、管理のストレスも小さくなります。
ゼネコンが大変なのは、受注して仕事をする立場であること(軸1)に加えて、大型・一点ものを多く扱うこと(軸2)の、両方が重なるからです。
だから会社は、この2つの軸――「自分たちで決められるか」と「工事そのもののリスクが低いか」――の両方で見ます。以下に挙げる会社は、いずれも2つを満たしやすい側にあります。
まず、施工管理を続けたまま移れる会社
働き方に悩むと、「施工管理そのものを辞めよう」と考える方は少なくありません。ただ、施工管理の経験を活かせるほうが、年収を維持しやすく、技術者としてのキャリアも積み上げていけます。いまの不満が、会社を変えることで解けるなら、本来はそちらのほうがいいはずです。
そこでまずは、施工管理という仕事そのものは変えずに移れる会社から見ていきます。
1. デベロッパー親会社系の建設会社
親会社であるデベロッパーから仕事が供給されるため、受注競争にさらされにくく、需要が安定します。さらに、親会社の開発計画に沿って動くぶん、工期も握りやすい。とくに、親会社とオフィスが同じだったり、もともとの施工部隊が子会社化したような距離の近い会社は、調整がしやすく働きやすい傾向があります。月の残業は20〜40時間程度が一つの目安です。
2. アパートメーカー(自社施工)
相手が地主さんや法人で、自社で施工まで手がけるため、工程をコントロールしやすい立場です(軸1)。また、建てるものの規格が決まっている場合が多く、施工品質のブレが起きにくく、工期も安定しやすい(軸2)。残業は20〜40時間程度が目安です。
3. 分譲住宅の会社
分譲(建売)は、自社が事業主として用地を仕入れ、建てて売る形です。買い手が決まる前に建てるので、注文住宅のように個別の施主とその都度やり取りする必要がありません。だから工程も仕様も自分たちで組み立てやすく、施主対応で土日に動くこともないので、基本的に土日休みです。さらに規格化された住宅が多いぶん、イレギュラーな対応も少なく、働き方が安定します。
4. 買取再販リフォームの会社(自社が発注者・巡回管理)
自社が発注者になって物件を仕入れ、リフォームして売る形のため、外部の工期に振り回されにくいのが強みです。一件あたりの規模が小さく、工事の内容も読みやすいため、トラブルが大きくなりにくいのも特徴です。
5. 事業会社のインハウス(自社施設の改修)
事業会社の中で、自社の施設の改修を管理する立場です。発注者の側にいるため、波がもっとも小さい部類に入ります。残業は10〜30時間程度が目安です。
6. 不動産管理会社
自社でPM(プロパティマネジメント、建物の管理運営)を請け負っている物件の、修繕・改修工事を元請けとして管理する仕事です。自社でオーナーと相談しながら工事予定を立てるため、工期を比較的コントロールしやすい立場です。
これらに共通するのは、工期や仕様を自分たちで組める立場であること(軸1)。そして多くは、規格化された建物や比較的小規模な工事を扱うため、トラブルが起きにくいこと(軸2)です。2つの軸の両方で、ゼネコンより有利な側にあります。
次に、職種を変えて移る会社
ここからは、施工管理の経験を活かしつつ、職種そのものが変わる選択肢です。若手の場合はとくに、経験よりこれからの伸びしろを見込んだ採用(ポテンシャル採用)になるため、転職の成功ハードルは上がります。それでも、検討する方が多いのも事実です。
7. CM会社(プロジェクトマネージャー職)
CM会社(コンストラクション・マネジメント、施工を請け負うのではなく工事全体の調整を担う会社)で、プロジェクトを管理する職種です。会社によってはリモートで働けることもあります。残業は30〜50時間程度が目安です。
8. デベロッパー(工事監理職)
デベロッパー側の立場で、発注した工事を監理する職種です。発注者側のため働き方は安定し、残業は10〜30時間程度が目安です。
評価や年収がどう動くかは、次で触れます。
若手のうちは、年収は「上がらない」前提で
最後に、いちばん誤解されやすいところをお伝えします。とくに若手の建築技術者に向けた話です。
ここまで挙げた移り先は、働き方は安定しますが、年収が上がるわけではありません。多くは、少し下がるか、ほぼ変わらないかです。受注して相手の決めた条件で動く現場では、年収に残業代が大きく乗って、実際に高くなっていることが多い。だから残業が減る会社に移ると、その分だけ額面は下がりやすいのです。
とくに、デベロッパーの工事監理職とCM会社のプロジェクトマネージャー職は、20代の若手だと下がり幅が大きくなりやすい移り先です。これらは施工管理7〜8年以上の経験が即戦力としての採用ラインになりやすく、それ未満だと、評価がポテンシャル採用に近くなるためです。若手の場合、100〜200万円ほど下がることもあります。経験や役職が上がっていくと、この下がり幅は小さくなっていきます。
だからこそ、若手のうちは、こうした移り先を「年収を上げるための転職」ではなく「働き方の安定を取りにいく転職」と捉えるのが、実態に近い見方です。年収を上げたいのか、働き方を変えたいのか。どちらを優先するかを先に決めておくと、会社選びの軸がぶれません。
そして、同じタイプの会社でも、一社ごとに中身は変わります。会社のタイプだけで決めず、一つひとつの求人で、残業・年収・任される範囲の中身を確かめることが、最後はいちばん大事になります。それぞれの会社の中身については、個別の記事でも掘り下げていきます。
「施工管理を辞めたい」という気持ちは、本物だと思います。それでも、辞めるという結論を出す前に、「会社を変えれば、その不満は解けるのか」を一度確かめてみてください。経験を活かしたまま働き方が整うなら、それがいちばん損のない選択です。
ガウディキャリアでは、建築技術者の転職支援を専門にしています。いまの自分なら、どの会社で、どんな働き方と年収になりそうか。その当たりをつけるところから、ご相談いただけます。辞めるかどうかを決めるのは、それからでも遅くありません。
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ガウディキャリア INSIGHT 編集部
監修:ガウディキャリア(株式会社Wheelsup運営、有料職業紹介事業 14-ユ-301559)
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