「所長クラスになると、もう転職は難しい」は誤解です。ベテラン施工管理の「動き方」は、普通とは違います
所長や管理職まで務めてきた施工管理の方から、こういう声をよく聞きます。「働き方を変えたい。家族との時間も考えたい。でも、この年齢と役職で、いまさら動けるのか」。
そして、もうひとつ。「いまの現場が来年まで残っている。動くとしても、ずっと先の話だ」と。
結論として、その2つは、ベテランほど思い込みになりがちです。所長・管理職クラスの転職は、若手や一般的な転職活動とは、動き方そのものが違います。求人票に応募して枠を競う、というだけの活動ではありません。企業のほうがポストを用意したり、入社の時期を待ってくれたりする――そういう動き方の比重が大きくなります。
なぜそうなるのか、面談の現場で見えてきたことをお伝えします。
ハイレイヤーの採用は、「枠」だけでなく「一部署が動く」話になりやすい
一般的な中途採用は、「何人採りたい」という採用計画の枠で動きます。応募して、その枠に入れるかどうかを競う形です。
もちろん所長・管理職クラスでも、この枠のなかで採用されることはあります。ただ、これだけの経験を持つ人が来てくれるなら、企業によっては枠の有無とは別に、一部署が動くくらいの話として迎えることもあります。
だから、求人票に応募して枠に入るのを競う、という動き方だけではなくなります。もちろん求人票がきっかけになることもありますが、それ以上に、企業のほうがポジションを用意したり、条件を合わせたりする要素が大きくなります。決まった商品を買いに行くというより、オーダーメイドに近い。「この会社なら、自分にどんな役割と条件を出してくれるか」を見て回るイメージです。
「入社は1年先」でも、いま動いていい
ここが、いちばん誤解されやすいところです。
一般的な転職は、入社の3〜4か月前から動き出すのが目安です。だからベテランの方ほど、「担当現場が終わるのが来年だから、動くのは半年後でいい」と考えます。エージェントによっては、一般論のまま「まだ早い、数か月後にまた」と言うこともあります。
ですが、ハイレイヤーの場合は事情が違います。いまから動いても、企業のほうが入社時期を待ってくれる可能性が十分にあります。むしろ、来季の採用計画に合わせて早めに会っておきたい、という企業もあります。
入社が1年先でも、早すぎるとは限りません。そこで手を挙げてくれる企業があれば、あなたに強い興味があるケースが多く、条件の相談もしやすくなります。担当現場の竣工など、自分の区切りを入社時期に据えればいい。動き出しと入社時期は、分けて考えられます。
年収はトップ水準。だから「下がる前提」で最低ラインを決める
所長・管理職クラスの年収は、残業分も含めて業界でもトップ水準にあることが多いです。
そのうえで働き方を優先して、発注者側や管理系の職種に移ると、額面は下がりやすくなります。受注して相手の決めた条件で動く現場では、年収に残業分が大きく乗って実際に高くなっているため、残業が減る側に移ると、その分が落ちるからです(この構造は別記事で詳しく触れています)。
だから、動く前に「希望年収」と「これだけは下回れない最低ライン」を分けて決めておくことをおすすめします。どこまで下げて、代わりに何を取るのか――時間、家族、健康。そこを自分のなかで、そして家族とも、先に握っておくと迷いません。
受け皿になる業態は、発注者側(デベロッパーの品質管理・工事監理)、建設コンサル(プロジェクトマネジメント職)、不動産管理など複数あります。それぞれの会社タイプと働き方は、別記事にまとめています。
踏み出す前に
所長・管理職クラスで、働き方や家庭を機に動こうと考えているなら、進める前に3つだけ整理しておくと、迷いが減ります。
「枠」だけでなく「自分基準」でも探す ── 求人票への応募に加えて、企業がポストを用意する動き方も使えます。建築特化のエージェントなら、企業に直接当たって、用意できる役割や条件を確かめられます。
入社が先でも、いまから動く ── 担当現場の竣工など、自分の区切りを入社時期に据えれば、1年先でも早すぎるとは限りません。むしろ早く会っておくほうが有利なこともあります。
最低許容ラインを先に決める ── 年収はトップ水準ゆえ、下がりやすい。何を取って何を手放すかを、家族とも先に握っておくと、条件交渉でぶれません。
ガウディキャリアでは、建築技術者の転職支援を専門にしています。所長・管理職クラスの方が、いまの経験をどの立場で生かせるのか。求人票には出てこない動き方も含めて、当たりをつけるところからご相談いただけます。
これまで現場を背負ってきたからこそ、次の一歩は、立ち位置から選べます。年齢や役職は、動けない理由ではありません。
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ガウディキャリア INSIGHT 編集部
監修:ガウディキャリア(株式会社Wheelsup運営、有料職業紹介事業 14-ユ-301559)
施工管理経験があるキャリアコンサルタントなど、現場を知る専門家と連携し、独自の取材と分析に基づいたコンテンツを発信しています。