年収が下がる転職を、家族とどう決めるか|後悔しない「下げ方」の考え方
年収が130万円下がる。しかも、2年間は昇給がない。それでも、その転職を選んだ建築技術者がいます。
無理をして年収を下げたわけではありません。配偶者と相談し、数年先まで見たうえで、納得して決めた結果でした。
建築技術者の転職では、年収が下がる選択は珍しくありません。残業の多い現場から働き方の安定した会社へ移れば、額面はたいてい下がります(なぜ下がるのかという構造は、「ゼネコンからデベロッパーに移れば年収が上がる」は、実態と違いますで詳しく書いています)。
この記事で扱うのは、その先です。下がると分かったうえで、どう決めれば後悔しないのか。とくに家族がいる場合に、何を見て、どう合意するのか。転職支援の現場で実際にあったことから、お伝えします。
額面ではなく、「数年スパンの家計」で見る
年収ダウンを、提示額の一点だけで判断すると、決められなくなります。見るべきは、もう少し長い時間軸の家計です。
先ほどの130万円ダウンの方は、年収が下がること自体は受け入れたうえで、いくつかの見通しを並べていました。長期では年収が戻る見込みがあること。会社が安定していること。共働きで、数年であれば家計へのダメージが大きくないこと。これらを配偶者と一緒に確かめて、決めています。
「2年間は昇給なし」という条件も、中身を見ると印象が変わりました。入社の時期と昇給のタイミングの兼ね合いで最初の昇給が後ろにずれるだけで、入社を前倒しすれば早められる余地もある。さらに、過去の実績では年度初めにベースアップがあり、その分は上がります。2年間まったく上がらない、というわけではありませんでした。条件の一行だけ見ると重く感じても、中身を分解すると、受け止めは変わります。
額面が下がっても、手取り、昇給・昇格の見通し、共働きの家計の余力まで含めて数年で見れば、判断できる材料になります。
「最低許容年収」を、先に決めておく
年収ダウンの転職でいちばん起きやすいのが、期待値のずれです。
その正体は、二つの年収を分けて言葉にできていないことです。ひとつは「これくらいは欲しい」という希望年収。もうひとつは「最低でも、生活を維持するにはこれだけは必要」という最低許容年収です。この二つが分かれていないと、提示の段階になって初めて、毎月いくらあれば暮らしが回るんだったか、と慌てて考え始めることになります。先に最低許容年収を決めておけると、たとえ希望年収を下回る提示でも、受けるかどうかを落ち着いて判断できます。
最低許容年収は、額面だけで決めないことです。提示額に、想定の残業代が含まれていないか。賞与の比率が大きい会社もあります。残業代や賞与のように変動する部分と、基本給のように毎月決まって入る固定の部分を分けて見て、固定で入る手取りで考える。そのうえで、絶対に下回れない線を、自分の中で、そして家族と、はっきりさせておきます。
年収を下げる前提だからこそ、「どこまでなら下げられるか」の線引きは、最初に決めておくほど後悔しません。
家族とは、「数字」と「なぜ」をセットで共有する
年収が下がる転職を家族に切り出すと、まず数字の話になりがちです。けれど、合意の決め手は、数字と「なぜ」がそろったときに生まれます。
130万円ダウンの方が配偶者と確かめたのも、金額だけではありませんでした。技術者として日本トップクラスの案件に携われること。なぜ、いま下げてでもそこへ行きたいのか。そして、年収はいつ戻る見込みなのか、その後はどう伸びていくのか。この見通しまで共有できたから、数年の家計と合わせて、安心して決められたのだと思います。
別の方は、20代で家庭を持ち、生活水準を大きく落とす選択には踏み切りづらい状況でしたが、最終的には、年収がダウンするデベロッパー職を選びました。決め手は、街づくりに近づくための現実的な一手だと、自分の中で整理できたことでした。
家族に共有するのは、下がる金額だけではありません。なぜこの転職なのか、数年後に何が変わるのか。そこまで言葉にできると、年収ダウンは「我慢」ではなく「納得した選択」になります。
下げ方を、後悔しないものにする
年収が下がる転職は、無理に受け入れるものではありません。家計が回らないなら、選ぶべきではない。それは前提です。
ただ、額面という一点だけで見ると、本当はいい選択肢まで「下がるから」と外してしまうことがあります。手取りと数年スパンの家計で見る。最低許容年収を先に決めておく。家族とは数字と「なぜ」をセットで共有する。この三つがそろうと、下がること自体は同じでも、後悔しない下げ方に変わります。
私たちガウディキャリアは、建築技術者の転職支援を専門にしています。年収が下がる選択をどう受け止めればいいか、家族とどう話せばいいか。その整理から、ご相談いただけます。
年収を下げてでも進みたい道があるなら、その判断は尊いものです。だからこそ、後悔のない下げ方を、一緒に考えられたらと思います。
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